自律神経調節障害
自律神経とは、体の恒常性を維持するために自分の意識とは関係なく自主的に働いてくれている神経システムのことです。それはシステムとして全身に存在し、全身の細胞活動をコントロールしています。自律神経には、2種類あります。つまり興奮系の交感神経系と抑制系の副交感神経系です。例えば敵に襲われたり、ストレスを感じたときにはそれに抵抗しようとして交感神経系が作動します。目を見開き、血圧を上げ、脈拍を上げ、気管を広げ酸素を多く取り入れられるようにし戦闘態勢に入りつつ、戦闘に必要のない胃腸の働きを休ませ、膀胱を広げ尿を出さないようにします。逆に敵が去ったあとは、血圧が下がり、脈拍もさがり、胃腸が活発になり、休息モードに入ります。
我々人間はストレスの多い社会で1日中これを繰り返しています。
そしてこれらの乱れがさまざま病気を引き起こしており、それらの治療においてこの自律神経のコントロールは避ては通れないのです。
交感神経系の興奮は、過度の血圧上昇を招き、不必要な不整脈を引き起こすことになりますので、高血圧や不整脈の治療においてこの自律神経系の調整は必須です。
また乱れの振幅が大きい、つまり交感神経系と副交感神経系の変動が激しければ、単独の変化に比べさまざまな症状は出現してきます。神経調節性失神という疾患などがこれに相当し、ホルター心電図、心拍変動や起立負荷試験などでさらに詳しい評価が必要になります。
一方、この自律神経の活動を支えているのはホルモンです。つまり内分泌学的なアプローチでホルモンバランスを整えることも重要です。ホルモン療法を行うこともありますが、このようなに交感神経系/副交感神経系この両方のバランスをうまく調整することは通常の西洋薬ではできず、漢方療法やプラセンタ療法などが奏功します。
またこれらが長期に及ぶとこのシステムは疲弊していきます。そうなると十分なホルモンも分泌されず、副腎疲労症候群、機能性低血糖という状態に陥ります。この場合、ホルモン自体を十分に作り出すだけの栄養状態であるかということも考える必要があり、栄養療法(オーソモレキュラー療法)が必要になります。