中性脂肪が高いと言われたら
中性脂肪とは食事中の脂肪分の1つです。血液検査で中性脂肪の値が高いということは、その検査が食後に行われたものなら食べた脂肪分が多かったことを意味しています。また同じく食事で摂取した糖分は体内で脂肪に変わります。つまり食後の高中性脂肪血症は食べ過ぎが原因です。
食べ過ぎで体内に余った中性脂肪は肝臓に蓄積し脂肪肝の原因となります。さらに腹部内臓周囲に内臓脂肪という形で、全身に皮下脂肪と言う形で蓄積していきます。
一方、その血液検査が空腹時に行われたものならば、前夜の食事の影響が残っているのかもしれません。あるいは自らの肝臓で再合成された中性脂肪が多いということになります。再合成の原料となる食事中の中性脂肪や糖分が多かったということですが、遺伝的に中性脂肪を分解する肝臓の酵素が欠損している場合もあります。日本人には少ない病態ですが、その場合、詳しい検査が必要になります。
皮下脂肪と異なり、内臓周囲に蓄積した内臓脂肪はただの脂肪の集まりではありません。
内臓脂肪からは、様々な生理活性物質(アディポサイトカイン)を分泌していることが最近の研究で解ってきています。例えば脳の食欲中枢にブレーキをかけるレプチンというホルモン。高血圧の原因である動脈硬化を抑制したり、Ⅱ型糖尿病の原因であるインスリン抵抗性に関与するアディポネクチン。他にも様々な(良性も悪性も)生理活性物質を分泌しています。脂肪細胞が肥大化し、ある一定以上(臍部断面積で100cm2)増えてくると、これらの生理活性物質を多く分泌したり、逆に減少させたりして三大生活習慣病を発症させてきます。
これがメタボリック症候群です。
当院では、エコー法とインピーダンス法を用いた内臓脂肪の計測を行っています。今までのCT検査で危惧されていた放射線被ばくの心配はまったく無く、短期間に何度でも検査することが可能です。
内臓脂肪は、皮下脂肪に比べ減量治療によって容易に減らすことができます。私たちは内臓脂肪の量を確認しながら薬物療法や管理栄養士による食事療法などを組み合わせて治療を進めています。